コンバージョン

クロスセル

別名: Cross-Sell, 関連商品の提案, ついで買い

クロスセルとは、顧客が購入しようとしている商品に合わせて、それと相性のよい関連商品を提案する手法です。スマートフォンにケース、コーヒーメーカーにフィルターのように、購入内容に本当に合うものを加えることで注文額を引き上げます。

クロスセルはアップセルとは異なります。そしてこの違いは、施策を設計するときに効いてきます。アップセルは、同じ商品のより高価なバージョンへ顧客を促すもので、たとえば128GBではなく256GBのスマートフォンを勧めることです。クロスセルは、注文に別の補完的な商品を加えます。画面保護フィルム、充電ケーブル、延長保証などです。どちらも注文額を高めますが、クロスセルが評価されるのは、提案した商品が最初の商品に本当に合っているかどうかであって、価格が高いかどうかではありません。

クロスセルが最もうまく機能するのは、顧客がもともと抱いていたはずの疑問に提案が答えるときです。つまり、これをうまく使うには他に何が必要か、という疑問です。カメラの商品ページで対応するメモリーカードやストラップを表示すると、推奨が不足を補うものとして役立つという印象を与えます。買い物かごを大きくしようと追いかけているようには見えません。最も効果的な配置は、購入意図がすでに固まっている商品ページとカート内です。ここでは、もう一つの関連商品は受け入れやすい提案になります。

エスプレッソマシンを販売するShopifyストアを考えてみます。顧客が中価格帯のマシンをカートに入れると、カートのドロワーのその下に三つの商品が表示されます。挽きたての豆、ノックボックス、洗浄タブレットの定期購入です。どれもマシンを手に入れて最初の一週間以内に必要になるものなので、この組み合わせは売り込みではなくチェックリストのように感じられます。これを、同じドロワーがミルクフローサー、携帯用マグ、関連のない紅茶の詰め合わせを提案する場合と比べてみてください。つながりが弱いため、顧客は目を通さずに通り過ぎ、やがてドロワー自体を無視するようになります。

この手法が嫌がられるのは、つながりが弱いときや表示量が多すぎるときです。購入手続きをゆるく関連しただけの商品で埋め尽くしたり、顧客が支払う前に五つのポップアップを重ねて出したりすると、人は推奨を見た瞬間に退ける習慣を身につけます。注文額を追いかけているつもりが、かえってコンバージョンを下げることもあります。関連性がすべてです。明らかに関連する少数の商品は、関連が曖昧な商品を大量に並べるより効果があります。

レビューはクロスセルのなかで静かに働きます。予定していなかった追加商品へと顧客が踏み出すとき、その判断を正当化するためにソーシャルプルーフに頼ります。ですから、推奨する商品に表示された星評価と具体的なレビューがいくつかあるかどうかが、無視される提案と受け入れられる提案の分かれ目になります。実際にレビューが集まっている商品とクロスセルを組み合わせるほうが、実績のない商品と組み合わせるよりもうまくコンバージョンする傾向があります。

正直に名指ししておく価値のある、AI回答エンジンの観点もあります。顧客がChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsに、自宅でエスプレッソを淹れ始めるには何が必要か、といった質問をするとき、これらのツールは単一の商品ではなく、ウェブ全体から一式のキットを組み立てます。各商品が何と組み合わさるかを商品ページで明確に説明し、レビューが商品を一緒に使った様子に触れているストアは、こうしたエンジンにバンドルを推奨するための文脈を与えます。つまり、サイト上のクロスセルを役立つものに感じさせるのと同じ関連性の規律が、あなたの商品カタログをAI回答エンジンがまとめて引用しやすいものにします。