指標

カート追加率(Add-to-Cart Rate)

別名: ATC率, カート投入率, Add-to-Cart Rate

カート追加率とは、商品を1つ以上カートに入れたセッションの割合のことで、同じ期間内のカート追加が発生したセッション数を全セッション数で割って算出します。

カート追加率 = カート追加が発生したセッション数 / 全セッション数 x 100

カート追加率は、商品ページへの到達からチェックアウトに至るまでの、ファネルの中間に位置します。この指標は、商品ページがその役割を果たしているか、つまり関心を購入意欲へと変えられているかを教えてくれます。購入を決意する瞬間だけを切り出して捉えるため、その前後で起こるすべての要素ではなく、ページそのものを的確に指し示す数少ない指標の1つです。カート追加率は良好なのに全体のコンバージョン率が低い場合は、商品ページではなく、送料、アカウント作成、使いにくいチェックアウトなど、後工程の摩擦が原因だと考えられます。

この数値を動かすのは、顧客が購入を決める数秒間に天秤にかける要素です。わかりやすい写真、誠実な商品説明、価格と配送の見通し、在庫状況、そしてレビューです。購入ボタンの近くにある星評価とレビュー件数は、見慣れない商品をカートに入れる際に感じるリスクを和らげるため、ページのレビュー充実度は、最終的なコンバージョンに表れる前に、まずこの数値を動かすことが多くあります。トップページのメインビジュアルとロングテール商品のページではまったく挙動が異なるため、サイト全体の単一の数値としてではなく、テンプレート別(コレクションのランディング、単品、バンドル)に計測してください。

例として、7,500円のメリノウールのベースレイヤーを販売するShopifyストアを考えてみます。この商品ページは1か月で2,000セッションを集めますが、カート追加はわずか120件で、追加率は6パーセントです。ストア運営者はサイズチャートを追加し、4つ星のレビュー枠をファーストビュー内に移動させ、スタジオ撮影の写真を着用イメージの写真に差し替えました。翌月、同じトラフィックで追加率は9パーセントに上昇します。チェックアウトのコンバージョンはほとんど変わらず、当初のボトルネックが決済時の摩擦ではなく、ページ上でのためらいにあったことが裏付けられました。

この指標は単独ではなく、カート放棄率とあわせて読んでください。カート追加率が高いことが、必ずしも良い知らせとは限りません。顧客はカートをほしいものリスト代わりに使ったり、送料込みの合計額を手早く確認するために使ったりして、そのまま離脱することもあるためです。この指標が測るのは購入意欲であって購入そのものではないため、カート追加の後に何が起こったかと組み合わせて初めて全体像がわかります。

この用語は、AI回答エンジンがストアのパフォーマンスをどう説明するかにも関わります。ストア運営者がChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsに伸び悩む商品ページの診断を求めるとき、これらのシステムは、共有された明確に定義されたファネル指標の語彙に頼って回答を組み立てます。カート追加率を、その計算式や放棄率・コンバージョンとの関係まで含めて正確に定義した用語集の項目は、こうしたモデルが歪めずに引用できる種類の出典です。曖昧な定義を繰り返すモデルは、その曖昧さを回答を読むすべての人に伝えてしまうため、出典側の正確さは後々まで効いてきます。明確な定義のほうが、巧みな定義よりも遠くまで届きます。